フィルムの歩き方

年間フィルム消費数推定数百本。35mmカメラ、中判カメラ、大判カメラ、自家現像、期限切れフィルム、感光などを歩いてきました。轍を残します。

04. Oylmpus PEN EE2 / 初めてのハーフカメラ

フィルムカメラのネックはランニングコスト

それに対抗する手法はいくつか考えられる。

1.安いフィルムを使う

2.ネットなどで安く現像してもらう

3.自分で現像する

4.ハーフカメラを使う

 

などなど。

そう、ランニングコスト削減をせねば!と考えて、僕はハーフカメラを買ってみた。

ハーフカメラとは、35mmフィルムの規格で、倍の数を撮れるカメラを指す。

つまり、36枚撮りのフィルムで、72枚撮れるのである。

そ、それは素晴らしい・・!

 

そんな心持ちで、いつものごとくメルカリでOlympus Pen EE2 を2000円ほどで購入。

この機種は、

・押すだけカメラ

・レンズ変更不可

・iso400まで対応

・暗いと赤ベロが出て、撮影できない

  ※ファインダーに赤い印が出る

 

というシンプルな構造である。

使ってみた感想としては、とても使いやすい。

そして、たまに「え、めちゃくちゃいいじゃん」って写りをすることがある。

ちょっと気になったものを撮る(街中の看板とか)程度の感覚で使うのにちょうどいいカメラ。

 

そこそこに使ってたんですが、壊れちゃいました。

その壊れたpenee2で撮れる画がなかなか面白く、不思議な画が撮れるようにはなったけど、記録用途としては明らかにつかえない・・

ただ、ご縁でpen ee2をお友達がくれたので、また使っていきたいと思います。 

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1.使ったフィルム不明

2.使ったフィルム不明

3.壊れたpeneeの描写 / KODAK ULTRAMAX400

写真家を知る#2 ハービー・山口「幸せをそっと祈って、シャッターを切る」2016.3

写真家を知る#2はハービー・山口

2016年3月に展示鑑賞&トークショーへ。

会場内にはラフに貼られた大きなモノクロの写真がずらり。

どれも人の自然な一瞬を切り取ったような雰囲気で「ああ、人に対するリスペクトや愛が滲み出てる方なのだな」と思いました。

 

トークショーで一番、心に残ったのは。

「僕は被写体の幸せをそっと祈って、シャッターを切る」

というお話。

 

お話を聞いて、僕にはそんなことはできないな、と思いました。

僕は、自分のためにシャッターを切っていて、その時に、写っている人の幸せを祈る、なんてできない。

このお話には、ハービー山口さんのバックグラウンドが深く関わっていて、それを聞いて、この慈愛溢れるポリシーについて、腑に落ちました。(このポリシーを理解する上で、大事なお話ですがここでは割愛します)

やはり、自分の写真観を突き通すのは、自己のバックグラウンドを探る必要がありそうです。

 

兎にも角にも、みんなの幸せを願う、という慈愛の精神が本当にかっこよくて、しかし真似できないなあ・・笑

 

その他にも、素敵な名言をたくさん聞けました。

・写真家なんだから、画を頭の中に思い浮かべて、それを言葉にするだけでいい(昔ディレクターに言われた言葉)

・人生にはプレゼントをくれる人がいる。それをプレゼントだと気づくか気づかないかはあなた次第

・人はカメラを持ったときに写真家になるのではない。撮りたいと思える被写体にであえた時に写真家になるのだ。

 

・「お前が撮りたいものを全部撮れよ。それがパンクだぜ」(海外の有名なパンクロッカーからのお言葉)

 

思い返すと、本当に濃厚なトークショーでした。

人の繋がり、人への愛、何を撮るべきか、などあらゆる観点でタメになる。

「自分が撮りたいものを撮れ」ってことね。

 

自分が何を素敵だと感じて、何にドキドキして、夢中でシャッターを切り続けることができるのか?

あまり撮る機会はないが、僕も一番は人なのかもしれない。

1日で100枚以上フィルムで撮るときは、確実に人が絡んでいる。

ということは、人の一瞬一瞬の表情の煌めきや、躍動、美しさ、が僕は好きなのではないだろうか。

自己への探求は飽くことなく続く。

 

写真家を知る#1 佐内正史「シャッターを切る」2016.2

僕がカメラを「少し真面目にやろう」と舵を切ったのは2016年1月。

当時発売したCanon 7d mark 2と24−70mm F4のレンズキットを30万円で購入し、写真部へ入部し、その仲間と共にいろいろな場所へ撮影へと行きました。(5月には仕事の都合で退部)

それと、その頃から「プロの写真家のお話」を聞くことに興味を持ち始めました。

 

今回は、くるりエレファントカシマシ中村一義、のジャケットを撮影した"佐内正史"さんのお話を思い出してみようと思います。

 

▼今回のお話はこちらのイベントにて▼

booksunderhotchkiss.com

 

佐内正史さんの第一印象は、、

流浪の人、というか、、ホームレス、、というか、、自然体、、というか・・。

とても自由なイメージでした。

 

佐内さんは、自分の持っている世界観がとても強く、共通言語ではない、独自の言語がたくさん出てきました。

そんな宇宙の言語を、モデレーターの方はできる限り、オーディエンスにもわかるような言語に落とし込んでくれていた、ように記憶しています。

 

今回のトークセッションの参加者には、佐内さんが撮った金沢の写真で構成された冊子がもれなくもらえる、という企画で、今回の冊子のそれぞれの写真について語ってくれました。

DMにもなった写真が、先ほどのイベントの詳細ページから見れるのですが、「青いホースって宇宙っぽいよねえ・・いいよねえ・・」と言っていたような気がします・・笑

そのほかにも

「やっぱり水っていいよねえ・・生命って感じだよね・・」

「金沢っていいよねえ・・・じめじめしてて、愛、って感じ」

などなど。

うーん、面白い。

僕が一番面白いな、と思ったのは「シャッターを切る」という言葉にまつわるお話。

 

「シャッターを切る」

「写真を撮る」

この2つのワードから想起されるイメージはどんなものだろうか?

 

佐内さんは「僕はシャッターを切る」と言っていました。

とにかくいいと感じたものはすぐ撮る。

反射的に。自分の感性に導かれて。

その「シャッターを切る」時には全神経を集中させる。

だからその瞬間はすごく疲れる。

 

それに対して「写真を撮る」という行為は、例えば

・富士山を三脚を立てて、美しい構図で撮る

のようなもの。

これは反射的に、というより作為的に美しい画を撮る、という行為。

 

これを聞いて、僕は自分が目指している写真のイメージが少し掴めた気がした。

僕は「シャッターを切りたい」。

自分が「美しい」と思った瞬間や「これはきになる」と思った瞬間に、すぐシャッターを切りたい。

深く考える前に、自分の思考に追いつかれる前にシャッターを切りたい。

そうして、自分は何が好きなのか?何に魅力を感じているのか?について考えていきたい。

そんな風に思って、今でも撮り続けています。

 

話はそれますが、アラーキー「シャッターを落とす」と表現したそうです。

うーん、日本語は面白い!

 

そのほかにも、佐内さんはドラクエ廃人だそうで、ドラクエの世界でも写真を撮り続けているようです・・笑

あとは道端で何か気になったら、その対象に対して、20枚でも写真を撮ってみると何か見えるかもね〜、という話もありました。

そうやって、自分が好きなものが何なのか、見極めて行くのが大事なんだろうなあ。

 

兎にも角にもここで出てきた「シャッターを切る」という言葉と、その意味を僕は一生忘れないと思います。

 

 

 

大判カメラと僕、第2話「道端のディアドルフ」

■前回までのあらすじ

大判カメラのフィルムが叩き売りされているのを見つけ、Mr.メルカリの田中ヤスタカは、居てもたってもいられなくなり購入してしまった!

だけども、田中は大判カメラを持っていない!

さぁ!どうする田中!どうなるフィルム!

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とある日曜日に「桜を撮りに行こう!」ということで井の頭公園へ。

桜をとにかく撮りまくり、『シャボン玉と光』をどうやって綺麗に撮れるか、を追求し、夕暮れ時が終わりかけた頃、あたりをうろうろしていると。

おじいちゃんが何やら三脚を立てて、いそいそしておりました。

 

(なんかでかいカメラ・・?え・・?大判カメラ・・?)

 

思わず立ち止まり、そのおじいさんとカメラをじーっと見つめておりました。

(あ、絶対そうだ、絶対大判カメラだ)

とわかったので話しかけてみることに。

 

僕「・・これ、大判カメラですか?」

爺「そうだよ、珍しいね。あなたも、立派なカメラを持ってるねえ。」

pentax 67をこのとき持ってた)

僕「この大判カメラ、ずっと見てみたかったんです・・!撮るところ見てていいですか?」

爺「ええ、べつにいいですよ」

 

そんなこんなで、じっとお爺ちゃんと対話をしつつ、大判カメラで撮るところを見ていました。

お使いの大判カメラは"ディアドルフ"8x10のサイズが撮れる、僕が見て見たかったカメラだった。(前回お話に出てきた上田義彦さんがお使いのカメラもディアドルフ)

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shooted by Contax Aria / Kodak Super Gold400(6年期限切)

 

この蛇腹の部分が箱の中に収まって、持ち歩けるような状態になります。

いやあ、美しい。惚れ惚れしちゃう。

ここからはおぼろげに記憶をたどり、おじいさんとお話したことをかちらほらつづってみます。

・買ったディアドルフは、ディアドルフをもともと作っていた人が新たに作ったもの?個人でやっている?ので、頼んでからこの商品が届くまで、1年くらいかかったらしい(何度も催促した上で!)

・お値段は3000ドルほど

・フィルムはヨドバシに売っている

・この日はもう真っ暗になる手前でシャッターをきっていたのでシャッタースピードは2分ほどで撮影

・その前に、シャッタースピードF値を露出計で計算(現像状況に合わせて加味して計算)

・シャッター音はほぼ無音、レリーズでシャッターを開け、レリーズでシャッターを閉じる

・撮ったものは自家現像をして、引き伸ばさずそのサイズでプリントするそうな

 

いやあ、いろいろお話していただけて。

そして、見たかったカメラを生で見れて、とても嬉しい出来事でした。

しかし8x10までいくと、持ち運びや撮影は、お手軽にはいけないっすね。

 

今後、道端のどこかでディアドルフに会うことはあるんだろうか。

またどこかで会いたいものである。

 

大判カメラと僕、第1話「大きいものに惹かれていく」

いきなり大判カメラへと話は飛ぶ。(なにそれ)

大判カメラとは、名前のとおり中判カメラで扱うブローニーフィルムよりも、さらに大きな「4x5」(シノゴ判)と呼ばれるようなフィルム、を扱って撮るものだ。

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僕は、いつだって大きさに惹かれてきた。

「大きい = カッコイイ」みたいなそんな観念がずっと頭の中にある。

まだフィルムカメラを手にしてまもない頃に、初めて中判のポジフィルムを見る機会があった。その時の感動は忘れられない。

「こんな綺麗なフィルムが世の中にはあるのか・・!」

それはハッセルブラッドで撮られた桜だった。

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それを見てから、というものの僕はずっと中判カメラへ憧れを抱き、rb67をゲットして、その感動を手中にしたのであった。

それについては、また別の日記で。

 

さてさて、なぜいきなり大判カメラのお話、なのかというと、先日、上田義彦さんのトークショーを見てきたからである。

広告写真の最前線を走り続けていて、それと並行して、自身の撮りたいものを撮り続けている、というとても素敵な写真家さん。

この方が、大判カメラを愛用していて、そのフィルムのサイズが「8x10」なのである。

この数値はインチ換算なので、「8x10」とはつまり「20cm x 25cm」をさすのでありまして、すんごいざっくりいうなればフィルム1コマが「A4(21cm x 30cm)」くらいあるのであります。

なんだよそれ、って世界ですね。こわいです。ドキドキです。

 

いつか、僕はA4のポジフィルムで撮る日はくるのでしょうか。いや、こないね。

ただ、僕はもう恐ろしいことに「4x5」のモノクロフィルムを50枚ゲットしているのです。

撮る機材はないにも関わらず、です。

メルカリですごく安かったんです。ははは。

これは運命や!と思って買いました。

僕はそういう人間です。

このフィルムを成仏させてあげないと、僕は居てもたってもいられません。

ということは、それ即ち、大判カメラが欲しくて欲しくてたまりません。

 

こうして、私はフィルムの沼に埋もれていくのでした。

埋もれて、いつしか共に燃やされるのでしょうか。

続く。